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栗栖増人来兵衛日乗

いろいろやりすぎて収拾のつかない栗栖増人来兵衛の好き勝手な日記
映画「100000年後の安全」
映画「100000年後の安全」_e0181546_14395711.jpg一昨日、標題の映画を観てきた。福島第一原発の事故以来、自分としても知らなかったでは済まされない、原発に関わる問題点が避けようも無く表に出てきている。そのうちの一つが「使用済核燃料」の問題だ。

使用済核燃料は、その発電能力を失った後も高熱を発し続けるため、少なくとも10年以上は冷却し続けなければならない。当然、冷却施設が原発以外に必要となる。福島第一原発の場合はそれを原発のある建屋の中に設置していた。電源が全て落ちたという緊急事態の中で、冷却装置が稼動できず、発電自体はしていなかったから安全と思っていた第4号炉で水素爆発が起きた。


本作品はフィンランドのオルキルオトに建設中の、原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場"オンカロ(隠された場所)"と呼ばれる施設に、世界で初めてカメラが潜入したドキュメンタリー作品です。
高レベル放射性廃棄物は安全な状態になるまで、10万年間かかると言われています。フィンランドでは、固い岩盤を掘削し地下500メートルにまるで地下都市のような巨大な施設を、自国の原発から出る放射性廃棄物の最終処分場として作る事を計画しています。現在の段階では正式に運用されるのは2020年を予定しています。



このテーマを描くのは難しいのではと思いつつ、過激な批判も表現されているのかとも思っていたが、実に淡々と静かに描かれていた。いろんな見方があるのだろうが、私の心に残ったテーマは「10万年後の人たちにこの事実をどう伝えるべきか」ということ。政府の担当者は出てこなかったと思うが、最終処分場の当事者たちにいろいろとインタビューしている。

人間、10年も経つと記憶は大分薄れる。放射性廃棄物を「ここに」埋めてある、ということを10万年後までどう伝え切れるのか。誰も答えを出せない。ある人は「忘れ去ること」が必要という。忘れ去ったとして、この封印された埋蔵所をなにかの拍子に、例えば5万年後の人が発見してしまうことはないのだろうか。埋蔵金を発掘したかのようにその人が無色無臭の「物体」に近づいてしまい、被爆してしまうことは有り得ないのだろうか。
結果、辿り着くのは論理矛盾のような言葉。

「忘れ去ることを忘れてはならない」

一人の女性はこう言う。
「当面のエネルギー対策としては原発を認めざるを得ない。しかしそれは短期間でしかない。いずれウランも枯渇する。せいぜい100年くらいの間でしかない。」

それを「救い」と言ってしまっていいのかは保留するにしても、インタビューを受けた人全員が10万年後の人たちに伝えきる方策があるとは思ってはいないことに、幽かな可能性を感じた。「国」によっては、この時点で「絶対安全だし、伝え切る手段も考え得る」などと強弁して議論させない、なんてことも起こりそうだから。

出来れば、原発に反対の人も賛成の人も容認派の方もぜひ見て貰いたい。切にそう思う。下記の公式サイトの中に、劇場情報も有ります。
http://www.uplink.co.jp/100000/
by kurijin-nichijo | 2011-04-30 15:35 | 映画・芝居
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