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栗栖増人来兵衛日乗

いろいろやりすぎて収拾のつかない栗栖増人来兵衛の好き勝手な日記
植草一秀「日本の独立」
植草一秀「日本の独立」_e0181546_13491221.jpg知人の読み掛けだったものを借りて読んでみた。昨今の政治情勢に疑念を持ったので。副題は「主権国民と『米・官・業・政・電』利権複合体の死闘」。『米・官・業・政・電』とは米国、官僚、大資本、政治屋、電波(TV、新聞を含むメディアのこと)を指す。

植草一秀氏については痴漢事件で二度ほど逮捕されているのはご承知と思う。それが冤罪であるのかどうかは、今の私にはわからない。ただ、この本を読むと暗然とするものがある。

以前から耳にしてはいたものが、少しづつ繋がり始める。

幕末から話は始まっているが、坂本龍馬が起こした日本最初の株式会社と言われる「亀山社中」。資金を出したのがフリーメイソンとの話。「お蝶夫人」で知られるグラバーはその一員だったらしい。
ただあまりフリーメイソンの陰謀説に拘ってしまう問題点は別途あることは認める。それを信じきってしまうと、世界はもうどうにもならなくなってしまうので。

そして、一般的には「征韓論」を巡る意見の対立とされている明治六年政変。教科書で習ったのは、征韓論を主張して敗れた西郷隆盛が下野したということ。
何年か前、「南州遺訓」という本を勉強したことがある。その中に下記の文があり、おやっ、と思った。

文明とは、道の普(あまね)く行わるるを賛称せる言にして、宮室の荘厳、衣服の美麗、外観の浮華を言うには非ず。世人の唱うるところ、何が文明やら、何が野蛮やらちっとも分からぬぞ。予、かって或る人と議論せしこと有り。西洋は野蛮じゃと云いしかば、否な文明ぞと争う。否な否な野蛮じゃと畳みかけしに、何とてそれほどに申すやと推せしゆえ、実に文明ならば、未開の国に対しなば、慈愛を本とし、懇々説諭して開明に導くべきに、左様には無くして未開蒙昧の国に対するほどむごく残忍の事を致し己れを利するは野蛮じゃ、と申せしかば、その人口をつぼめて言無かりきとて笑われける。

つまりは、「文明」国だというなら後進の国に対し慈愛を持って話し合いで文明に導くべきであるのに、実際は武力を持って従えるというやり方をしている。それは「文明国」のすることではない、野蛮だとと言っているわけだ。

こういうことを言う人が「征韓論」を唱えたと言うのなら、考えられるのは二つ。一つは西郷隆盛が言行不一致のいい加減な人物であった可能性。もう一つは政変に勝った方が事実を捻じ曲げて流布した可能性。どうやら後者の方に思える。

明治六年政変で勝ち組となった大久保利通が作り上げた体制が連綿と維持されており、それが『米・官・業・政・電』利権複合体となって米国の意志のままに動く現在の体制に繋がっているという。

小泉首相時代の経済政策等の無茶苦茶さにも話が及んでいるけれど、この辺は難しいことだと感じた。政府の政策が正しいのかどうかというのは、例えば経済学者でも立場によって言うことが違うのが常。これを国民はなにを基準にどう判断すれば良いのか。
実は環境問題なんかも同じ。難しいことは事実としても、日本国民として「親方日の丸」の心持ちから抜け出し、政府等々に「物申す」気概、信念を培うことが重要であることは間違いないようだ。
by kurijin-nichijo | 2011-03-10 14:52 | 時事
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